誰もが、自分の色で人生を彩れるように。/カスタマーサクセス 外山友香
#006

誰もが、自分の色で
人生を彩れるように。
カスタマーサクセス外山友香

「もし、履歴書に自由に項目をつくって自分を紹介できるとしたら、どんなことを書きますか?」
Proff Magazineでは、履歴書の自由なあり方を考えるために、そんな質問をさまざまな分野で活躍する方に投げかけてみることにしました。
今回話を聞いたのは、株式会社プレイドでカスタマーサクセスをつとめるかたわらで、武蔵新城の町のメディアの運営や、本を通じた場づくりをしている外山友香さん。
「カラフルな社会をつくる」を人生のテーマに置いて働く外山さんは、自らの履歴書についてどんなことを語るのでしょうか。

人間味や手触り感を大事にしたい

-カスタマーサクセスって、あまり馴染みのない言葉ですが、どのような仕事をしているのでしょうか?

外山友香さん(以下、外山):「KARTE」という、WEBサイトやアプリに来訪しているユーザーの属性や行動をリアルタイムで分析して、一人ひとりに合わせた体験づくりを提供するサービスに関わっています。

ユーザーのタイプを細かく分けて、その人に合わせたポップアップやコンテンツを出せるので、上手く使いこなせばオフラインの店舗で接客するようなコミュニケーションが取れるんです。

私は「KARTE」を導入してくださった企業がコミュニケーション上の課題を解決して、結果として数字で成果を出せるようにサポートしています。

-オンライン上で、企業とユーザーのいいコミュニケーションを実現することに取り組んでいるんですね。

外山:そうですね。オンラインのコミュニケーションって無機質になりがちだけど、ユーザーに適切なタイミングで、適切な情報を届けることができれば、サービスや企業との間にもいい関係を築けるんじゃないかと考えていて。

これ以上モノやサービスの価格を下げるとか、利便性を高めることって、正直言って限界がある。なので、オンラインでもユーザーのことを思いやり、人として接するような体験を増やしたいと思っています。

-前職では不動産メディアの運用に関わっていたそうですが、なぜ編集職からキャリアチェンジを?

外山:根底にあるのが「情報を適切に届けたい」という想いなので、編集やライティングはあくまでも手段のひとつなんですよね。同じ職種の方が将来設計はスムーズにできそうだし、編集職の内定ももらっていたけど、いまの会社の「データによって人の価値を最大化する」というミッションに惹かれて職種を変えました。

あとは“手触り感”を求めていたからかな。自分がやったことがそのまま価値になり、反応を得られる面白さというか。いまの仕事は、お客さんの顔が見えることはもちろん、「この施策はダメだ」とか「ABテストをしたらこっちの方が良かった」など、数字で効果を実感できるところが好きなんです。

 

情報を届けることは、心や暮らしを彩ること

-外山さんはSNSなどでたびたび「カラフルな社会をつくりたい」と言っていますね。「カラフルな社会をつくる」とはどういうことなのでしょう?

外山:はい。私は社会人1年目のときから「カラフルな社会」という言葉を使い続けていて。誰もがもっと個性や自分の色を出せる世の中にしたいって、ずっと思っているんです。

いまって便利なものや安いもの、流行やネームバリューとか、誰かが信じているものに飛びつきがちじゃないですか。選択肢も画一的だし。

じゃあ「どうやったらいまの風潮のなかで、自分の色を出せる人を増やせるのだろう?」と考えると、モノでもサービスでも土地でも、その奥深くにある個性や魅力を引き出して、届けるべき人に届けることで、選択肢を知ってもらうことが重要だなと。

せっかくいい選択肢があっても、存在しているだけでは認知してもらえないから、まずは情報を届けて「こんな世界もあるんだ」と知ってもらいたい。それが、一人ひとりが個性や自分の色を出せる社会をつくることにつながると信じています。

-「発信する」ではなく「届ける」という言葉を使っているのには、なにかこだわりがあるのですか?

外山:ただ発信するだけでは「届かない」のだなと、編集やライティングの仕事をしていて感じたんですよね。取材対象の個性を引き出して記事を作っても、リアクションをもらえるわけではないし、それを期待するのも違う。もちろん直接感想をもらってうれしかったこともあったけど、仕事では数字が出てはじめて「届いた」って思えるし、結果を踏まえて改善するのが楽しくて。

特にカスタマーサクセスの仕事をはじめてからは、そのことをより強く感じますね。受け手であるユーザーに、モノやサービスが持つ魅力とかコンテンツを適切に届けることで価値は最大化されるし、ユーザーにもいい感情が生まれるんじゃないかなと。そうやって、何かと何かがつながっていくことに喜びを感じるし、働く上でのモチベーションになっています。

 

ずっと“誰かに望まれる自分”になろうとしていた

-なぜ「カラフルな社会」が大切だと思うようになったのですか?

外山:私、小さい頃から大学生くらいまで、自分を押し殺している感覚があったんですよ。

親が自分が高卒だった経験からか、私にはいろんな選択肢を持ったまま育って欲しかったようで、小学校から高校まで進路をお膳立てしてくれて。それが私にとっては敷かれたレールの上を歩んでる感じで、生きづらかったんですよね。

あとは、学校で周りからの同調圧力も感じていました。小・中学校はひと学年90人くらいがそのまま持ち上がるかたちだったので、9年間顔をあわせる人が一緒で。価値観もみんな同じだから、そこから外れるといじめられる、みたいな感じだったんです。

たとえば洋服をみんなに合わせなきゃ、とか。男っぽいものが流行ってたから、パーカーを男物にしたり。私が着たいのかって聞かれたら、そんなことなかったと思うんですけど、周りに合わせないと友達じゃなくなっちゃうんじゃないかって思ってましたね。

それが息苦しくて、高校は知り合いが誰もいないところに行こうと思って、ちょっと離れた学校に入ったんですけど、そこでも結局同調圧力を感じて。人と比較したり、可愛い人をうらやましく思ったり、スクールカーストに悩んだり。本当に黒歴史です(笑)。

勉強を頑張れば親や先生に褒められるし、部活を頑張れば周りに頼りにしてもらえるし、みんなと同じでいれば仲間としても認めてもらえる。そんなふうに優等生を演じてた方が、たしかにある意味楽だったんです。でも、「これは本当の私じゃない」みたいな生きづらさは、どこかにあったんですよね。

-自分の色を出せないことの生きづらさかもしれませんね。そんな生きづらさは、どうやって解消していったんですか?

外山:大学時代に、「周りがどうとかじゃなくて、自分で選ぼう」と思って、4年間いろんな環境に飛び込んでみたんです。

特に覚えてるのは、台湾に留学に行ったとき。それまで私は「出かけるときはお化粧しなきゃ」と思ってたんですけど、台湾の方はみんなスッピンとビーサンで歩いてるし。恋愛も、「大学生になったら彼氏の1人くらいいなきゃだろう」って思ってたけど、「いや別にいないし」みたいな。

「え、なんでいた方がいいと思うの?」と聞かれて、「確かになんでだろう?」って考えるような日々が半年間あって。「私は超狭い世の中で生きてたのかもしれない」って、自分の価値観が覆りはじめたんですよね。

さらに4年生の時、就活生用のカフェみたいな場所に出会うんですけど、そこにいた人たちの生き方がそれまで出会ったことのないようなもので。フリーでカメラマンをやってる人とか、社会人5年目だけど3社くらい転職してる人とか、有名大学を出たけど大企業じゃなくてビールをつくるベンチャーに入った人とか。そこで、「そんな生き方、本当にあるんだ!」って衝撃を受けたんです。

それまでの私の周りにいた人って、親とか大学の人たちもみんな「有名な大学を出たんだから、商社とかメーカーとか銀行とか、有名企業に行くのが当然だよね」って価値観を持ってました。でも、カフェでいろんな人と出会うなかで「この人たちの方が楽しそうだぞ」って思った時に、やっと分かってきたんです。「私ももっと自分の色を出して生きていいんだな」って。

 

自分の色を出せることが幸せ

外山:高校まで、“誰かに望まれる自分”になろうとしていたことによる生きづらさのひとつは、本当の友達ができなかったことです。いまも、高校以前からつながっている友達ってあまりいないんですよね。

結局大学3年生くらいまではTwitterの表アカウントと裏アカウントを使い分けて、表アカウントでは周りに同調したようなことをつぶやいてたんですよ。「サークルで打ち上げがあって楽しかった!」みたいな。実際楽しくなくても、「楽しい」って書いた方が仲間として肯定してもらえるんじゃないかと思って。で、裏アカウントやブログで、自分が本当に書きたい文章を書いてました。

でも、大学4年生くらいになって、さっき言ったみたいな価値観の転換もあったから「素の自分を出しちゃえ!」と思って、その裏アカウントやブログの存在を周りの友達に伝えられるようになったんです。そしたら思った以上に受け入れてもらえたから、自信を持てるようになって。

実は、いま使っているTwitterアカウントってもともと裏アカウントだったんですよね。

-人知れず素を出していた裏アカウントが、今ではみんなに知ってもらえている表になったんですね。

外山:そうですね。オンライン上でも、リアルでも、近頃は常に素の自分でいられるようになりました。違う言葉で言えば、自分の色を出せるようになったんです。常に好きな自分でいることができるようになった、というか。

そうすると、それまでぜんぜん友達ができなかったのに、1回会っただけですごい深いところで繋がれるようになるんですよね。今では、「年をとっても近くにいたいな」と思える本当の友達が何人もできました。

こんなふうに、自分の色を出せてることが私は幸せなんです。だから、周りの人もそういうふうに生きられた方が幸せなんだろうなって。その思いを伝えるための言葉として、「カラフルな社会をつくる」と言っているんです。

 

弱さも含めた人間らしい部分を出して働く

-カラフルって、どこかキラキラしているイメージがありますよね。

外山:そうですよね。でも、私のイメージしてるカラフルはちょっとちがいます。キラキラとしたポジティブなことだけじゃなく、人間らしい弱さ、色で言うと「黒」を織り交ぜたいなって。

SNSもそうですけど、特に今回の取材のテーマでもある履歴書って、ポジティブなことしか書けないじゃないですか。例えるなら、転職や結婚とか人生の転機を綴ったFacebook、もしくは楽しい瞬間だけを切り取ったInstagramみたいな(笑)。

でもそれだと、企業側に求められている自分でいないといけないと思ってしまうから、採用された後が辛いんですよね。自分が「人」ではなくて「機能」として見られる感覚を持ち続けることにもなるし。そうした感覚を持たないために、履歴書でも自分の弱さを出せるといいなって思うんです。

-なるほど。いまの会社では、弱さも出せていますか?

外山:まだ入社して日が浅いけど、あえてたくさん挑戦をしたり色々な人とコミュニケーションをとるようにしています。そうすると、失敗したり多面的な私を出したりすることになるから、見せようとしなくても出ちゃうと思うんですよね、弱いところやださいところが。自分の素を丸出しにした記事も読んでもらえたらなあと、SNSに投稿することもあります。その方が生きやすいですしね。

-そんなふうに、人間らしく働けている人ってなかなかないですよね。

外山:そうですね。学生の頃は「なんで日本ってこんなに画一的で、モノクロなんだろう?」と不思議に思っていたけど、社会人になってから「多くの人が企業の看板や仕事を最優先にして、個人の心や暮らしをないがしろにしているからだ」と気づきました。

そうは言っても、仕事はしないといけないので、弱さも含めた人間らしい部分を持ったまま社会とつながれたらいいなと、常に素の自分で生きるようにしています。

-面接のときも自然体だったのでしょうか。どんなことを話しましたか?

外山:自然体でしたね。WEB上の履歴書に自分が書いたブログのURLを貼り付けて、最終面接では「なぜ書くことが好きなのか」を20分語りました。前職のときは「この人が書く文章は面白い」と思ってもらって選考に通ったので、私はブログがあると自分らしさをより伝えやすくなるんだと思います。

あとは「自分がうれしくなる瞬間」についても話しました。以前、私のブログとTwitterを見てイベントで声をかけてくれた人がいて、その後一緒に旅行したりいまでは月一で会ったり、もう5年近くの付き合いになるんですけど、そのことを。

-想いを届けた先に、つながりが生まれたのですね。

外山:本当にうれしかったですね。他にも、コンプレックスを綴った記事を読んだ人が「初めて人の文章を読んで泣きました」と連絡をくれて、メディアの可能性を感じたこととか。いまでも心の叫びを記事に書いて反応をもらえると、やっぱりうれしいですね。

-そんなふうに、履歴書にも感情を乗せられたらいいですよね。

外山:企業側も社員の「うれしい」の瞬間を増やせた方が、プラスになると思うんですよ。うれしい感情って人を自然と動かすことになると思うので、勝手にモチベーションにつながる。なので、私の場合いまは主にカスタマーサクセスの仕事をしていますが、オウンドメディアにも少し関わらせてもらっています。

今回は、Proffの項目を自由に設定できるということだったので、「自分がうれしくなるとき」について綴りました。

>外山さんのプロフはこちら

 

呼吸をするように、自然体な私でいたい

-最後に、外山さんの今後の展望を教えてください。

外山:とにかく自然体でいたいですね。普段無意識に呼吸をしてるのと同じように、どんな人や物事に対しても無理なく向き合いたいなと。

仕事ではカスタマーサクセスをやっていますが、やっぱり私にとって「書くこと」が根っこにあるので、どこかで書き続けたいなと思っています。

私が書いた言葉が私の素ですし、私がさらけ出せばどこかの誰かが勇気づけられて、素を出せるようになるかなって。あとは、それこそ埋もれてしまっている、もったいない魅力や個性を発信して届けたいです。

いま私が住んでいる武蔵新城も、たまたま知人に紹介されて移り住んだ土地なのですが、まさに“もったいない”魅力がたくさんあって、町の人にインタビューして記事を書いています。それも私にとって、「カラフルな社会をつくる」ということのひとつの方法なんですよね。

 

(執筆:馬場澄礼/撮影:山中康司

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